「ウェブ時代 5つの定理」刊行記念
ぼくはこんな言葉に未来を見てきた
- make the world a better place

梅田さんの講演会に行ってきました。
講演の冒頭で、著書「ウェブ時代 5つの定理」の中からで、自分のベストテンを選ぶのはすぐには無理かもしれませんので、ベスト3を選んでみてください、とのご指示が出されました。
その後、梅田さんのベストテンを発表しながら、その言葉を選んだ会場の皆さんに挙手してもらう形で講演は進められました。
以下、梅田さんの順位、会場の挙手の数、言葉、その言葉に対する梅田さんのコメントです。言葉は本からの引用なので、今日梅田さんがコメントされていた内容を太字にしてあります。
【10位】0人 「いま、世界は(以前とは)まったく違う。それは、君たち一人ひとりが
世界中のどんなことについても「情報を得る力」を持ったからだ。
私が学校に通っていた頃と、本当にまったく違う世界だ。」(サーゲイ・ブリン) p.182
インターネットで大事なのは「個人」。思ったときに情報を得られるようになった。
しかし、選択肢が多すぎると8〜9割の人は選べなくなる。よって、1〜2割の人をエンパワーすることになる。その1〜2割の人は、とんでもなくパワフルになる。
大企業にしかできなかったことを個人に開放した。【9位】9人「世界を変えるものも、常に小さく始まる。
理想のプロジェクトチームは、会議もせず、
ランチを取るだけで進んでいく。チームの人数は、
ランチテーブルを囲めるだけに限るべきだ。」ビル・ジョイp.97
新しいことを始める際に、カネが無い、人がいないというのは言い訳にならない。情熱を持った人が4〜7人で全力疾走することから始まる。【8位】3人 「おそらく決定的な要因は、「当たり前」を超えて
「狂信的に注意を払うこと」だ。
細部に「取り憑かれたような関心を持つこと」だ。
ケーブルやパワーアダプターといった普通は見過ごされることの多いものにも、
とことん気を配ることだ。」(ジョナサン・アイヴ)p.162
「fanatical」や「obsessive」という単語は、普通、このようなビジネスの場には出てこない。
製品を作る人に限らず、毎日の生活の中でも、1つ一つのことを丁寧にやっていくことが大切。【7位】14人「自分がやらない限り世に起こらないことを私はやる。」(ビル・ジョイ)p.259
4〜5年前に出会った言葉。
インターネットが個人をエンパワーすると言うことは、個人がグローバルな競争にさらされることでもある。
コモデティ化のリスクを回避するためには、その個人固有のものが大切。【6位】2人「カウンターカルチャーは中央集権化された権力に軽蔑心を示し、
まさにそれが、リーダー不在のインターネットの世界だけでなく、
PC革命に対しても哲学的基盤を与えた。」(スチュアート・ブランド)p.117
シリコンバレーがある西海岸にはヒッピーや反戦の思想が根強くあったが、PCやインターネットには、その思想が全部入っている。インターネットは個人をエンパワーするものである。というのが、インターネットに対するシリコンバレーの解釈。
一方、東海岸の世界観は、コンピュータは世界に5台あれば世界を管理できるというものだった。【5位】6人「ネットが負けるほうに賭けるのは愚かだ。なぜならそれは、
人間の創意工夫と創造性の敗北に賭けることだから。」(エリック・シュミット)p.139
インターネットは個人をバーンと大きく広げるもの。同じ思想を持った人同士をつなげてくれるもの。インターネットとをどう見るかをあらわした言葉。【4位】5人「シリコンバレーの存在理由は「世界を変える」こと。
「世界を良い方向へ変える」ことだ。
そしてそれをやり遂げれば、
経済的にも信じられないほどの成功を手にできる。」(スティーブ・ジョブズ) p.62
シリコンバレー以外にもコンピュータを開発できる場所はたくさんある。
しかし、他の地では真似することができないことがある。
それは、「世界をよりよいものに変えるんだ」ということを能天気にみんなが言っていること。ゆるぎない思想として存在すること。
そのくせ、後半では急に下世話な話に変わる。
これがシリコンバレーの真髄。
決して拝金主義ではない。カネはファーストプライオリティではない。
でも、世界をよりよくすることに貢献したのなら、金持ちになって当然だし、恥じることでもない、隠すことでもない。【3位】30〜40人「君たちの時間は限られている。
その時間を、他の誰かの人生を生きることで無駄遣いしてはいけない。
ドグマにとらわれてはいけない。
それでは他人の思考の結果とともに生きることになる。
他人の意見の雑音で、自分の内なる声を掻き消してはいけない。
最も重要なことは、君たちの心や直感に従う勇気を持つことだ。
心や直感は、君たちが本当になりたいものが何かを、
もうとうの昔に知っているものだ。
だからそれ以外のことは全て二の次でいい。」
「偉大な仕事をする唯一の方法は、あなたがすることを愛することだ。
まだ見つかってないなら探し続けろ。落ち着いちゃいけない。
まさに恋愛と同じで、見つかればすぐにそれとわかる。
そして素晴らしい人間関係と同じで、年を重ねるごとにもっと良くなる。
だから見つかるまで探し続けろ。探すのをやめてはいけない。」
(スティーブ・ジョブズ)p.256-258
ネットで25000件の感想を見ているが、この言葉に対する反響が圧倒的に大きい。反響があることを嬉しいと思う反面、経験を積んでいない若い人たちには、この言葉しかまだわからないのかなあという気持ちもある。【2位】7人「より革命的な変化に、私は魅了され続けてきた。
自分でもなぜだかわからない。
なぜなら、それを選べば、もっと困難になってしまうからだ。
より多くのストレスを心にかかえこむことになる。
みんなに、おまえは完全に失敗した、
と言われる時期もおそらくあるだろう。」(スティーブ・ジョブズ)p.21-22
ルーチン的な仕事では満たされない何かがある。
どうしてかわからないけれど、何か大変そうな方を選んでしまう。
でも、そーゆーものなのだ。【1位】4人「全く見ず知らずの人間でも信頼できる」ということを、
eベイは一億二千万人もの人たちにわからせたのだ。」(ピエール・オミディア)p.56
人はいうのは、それほど悪いものじゃないんだということを、歴史上初めて1億人以上の人で証明した。
これを言ったのはeベイを作った張本人であり、自分が成し遂げたことを、明るく突き抜けた言葉で表している。そして最後に
「何年かに1回、この本を開いて見てほしい。
その都度、自分のベストテンを選んでみてほしい。
全く違う言葉を選んでいる自分を発見できるだろう。」とうことで、講演は終了しました。
−−−−− 以下感想など −−−−−
2位の言葉に触れて、大学時代の恩師が仰っていた言葉を思い出しました。
「選択肢があったら、大変な方、苦労しそうな方を選びなさい。
その方が絶対面白いから。」
ここのところ楽なほうを選んできたなあと反省。
ところで、私が選んだ3つの言葉は、7位、4位の言葉、そしてベストテンに入らなかった次の言葉でした。
「科学は、何かを10%や20%良くするのではなく
100倍良くする可能性を秘めている。
私はその力に興奮を覚える」(ビノッド・コースラ)p.145
それからもう一つ
「偉大なプログラマは金に関心がない、と言われることがある。
これは必ずしも正しくない。
ハッカーたちが本当に大切にしているのは、面白い仕事をすることだ。
でも、十分な金を稼げば、それからはやりたい仕事ができる。
そしてこの理由から、ハッカーは莫大な金を稼ぐことに惹かれる」
(ポール・グラハム)p.131-132
技術的な突き抜け感、経済的な突き抜け感が好きです。
公演後、サイン会がありました。そこで、ちょっと梅田さんに口頭でお願いをしてみました。
というのは、梅田さんは「ウェブ時代をゆく」の中で
「経済のゲーム」よりも「知と情報のゲーム」であり、無形の大きな利益を得られることに尽きると書かれてます。
一方で、梅田さんはコンサルティング業もされています。
そこで、お願いしたことというのは、
「経済的なこととの関係について、もっと書いてください。」ということです。
そして、その場で梅田さんから頂いたお返事は、
「それは時間がかかりそうだなあ。
それは他の人に書いてもらいたいなあ。」
ということでした。
梅田さんの著書には、わくわくすることがたくさん書かれているので好きです。
しかし、インターネットによって個人がエンパワーされ、知的な興奮や満足を得られても、「知と情報のゲーム」であり無形の大きな利益を得られることに尽きてしまっては、それは遊びでしかなのかと感じてしまうこともあります。
コンサルティング業として、どのように実世界と結び付けているのか知りたいところです。
今日は、梅田さんご本人の姿を見ながら、ご本人の説明を聞けて、講演会はやはりいいものだと感じました。